コード進行分析

コード進行をディグリーネーム(度数表記)で覚えるべき理由とメリット

当ブログでは、コードネームの「実音表記」に加えて「度数表記」も添えてあります。

度数表記は「ディグリーネーム」とも呼ばれています。

ディグリーネームはローマ数字「Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ・・・」で表されることが一般的ですが、当ブログではより直感的に把握できるようにアラビア数字「❶ ❷ ❸ ❹・・・」で表記しています。

ディグリーネームを活用することによって、次のようなメリットを得られます。

ディグリーネームのメリット
  1. Keyにおけるコードの役割を把握しやすい
  2. 作曲や編曲の際に応用させやすい
  3. コード進行の引き出しをたくさんストックできる
  4. 共通言語として使える

ここでは、ディグリーネームによる表記になじみがない方のために説明しておこうと思います。

トニックから数えた「度数」に対応している

ディグリーネームは「❶ ❷ ❸ ❹・・・」というようにコードに対して数字を振っていきます。

この数字は、そのKeyのトニックから数えた「度数」に対応しています。

たとえば「Key=Cメジャー」の場合で考えてみましょう。

まず「Key=Cメジャー」のダイアトニックコードを並べます。

「Key=Cメジャー」のダイアトニックコード(3和音)
C Dm Em F G Am Bm-5

になります。

次に、トニックであるCから順に❶から番号を振っていきます。

「Key=Cメジャー」のダイアトニックコード(3和音)
C Dm Em F G Am Bm-5
❷m ❸m ❻m ❼m-5

この数字がディグリーネームになります。

コードネームがC、Dm、Emと「音名(実音)」で表記しているのに対し、ディグリーネームは❶、❷m、❸mというように「階名」で表記しているということです。

臨時記号が付いている音がルートの場合

また、#や♭などの臨時記号が付いている音(ノンダイアトニック)をルートとするコードの場合は、ディグリーネームにも臨時記号が表記されます。

たとえば「Key=Cメジャー」においてD♭A#mは臨時記号が付く音をルートとするコードなので、ディグリーネームの表記はD♭は❷♭、A#mは❻#mとなります。

言い換えると、ディグリーネームに臨時記号がついていなければそのコードのルートはダイアトニックということになります。

「音の積み方」も表している

ディグリーネームはトニックから数えた「度数」を表していますが、同時に「音の積み方(構成音)」も表しています。

音の積み方によって、コードの性質が決まります。たとえばそのコードの3度の音程が長3度であればメジャーコード、短3度であればマイナーコードになります。

メジャーかマイナーか

もう一度ディグリーネームの表を見てみましょう。

「Key=Cメジャー」のダイアトニックコード(3和音)
C Dm Em F G Am Bm-5
❷m ❸m ❻m ❼m-5

❷❸❻❼の横には「m」が付いていますが、これはマイナーコードであることを表しています。「m」が付いていない❶❹❺はメジャーコードになります。

ダイアトニックコードにおいては、必ず❶❹❺はメジャーコード、❷❸❻❼はマイナーコードになります。

  • ❶=ドミソ
  • mレファラ
  • mミソシ
  • ❹=ファラド
  • ❺=ソシレ
  • mラドミ
  • m-5シレファ

たとえば「Key=Cメジャー」において、2番目のダイアトニックコードはマイナーコード「❷m=Dm」であり、5番目のダイアトニックコードはメジャーコード「❺=G」ということになります。

もし「Key=Cメジャー」においてディグリーネームが❷mではなく❷になっていたら、そのコードは「レファラ」ではなく「レファ#ラ」であり(D)、ノンダイアトニックコードということになります。

4和音のディグリーネーム

ここまでは3和音のディグリーネ−ムについて見てきましたが、4和音の場合についてはどうなるのでしょうか。

3和音のときと同様に、「Key=Cメジャー」のダイアトニックスケールの音を3度ずつ積み上げて4和音を形成してみましょう。

「Key=Cメジャー」のダイアトニックコード(4和音)
C△7 Dm7 Em7 F△7 G7 Am7 Bm7-5

これに対応するディグリーネームは次の通りです。

「Key=Cメジャー」のダイアトニックコード(4和音)
C△7 Dm7 Em7 F△7 G7 Am7 Bm7-5
❶△7 ❷m7 ❸m7 ❹△7 ❺7 ❻m7 ❼m7-5

4和音になると7thの音が登場しますが、ディグリーネームでは7thの音についても表記します。

ダイアトニックコードにおける7thの音程は、❶❹はメジャー7th(長7度)、❷❸❺❻❼は7th(短7度)になります。

  • ❶△7=ドミソシ
  • m7レファラド
  • m7ミソシ
  • ❹△7=ファラドミ
  • 7ソシレファ
  • m7ラドミソ
  • m7-5シレファラ

同様に、9thや13thなどのテンションノートについてもディグリーネームで表すことができます。

ディグリーネームは、Keyが変わっても不変

ここまではディグリーネームを「Key=Cメジャー」の場合について説明してきましたが、Keyが変わってもディグリーネームは変わりません。

「Key=Aメジャー」でも「Key=D♭メジャー」でも、ダイアトニックコードを並べた場合のディグリーネームは「❶ ❷m ❸m ❹ ❺ ❻m ❼m-5」です。

Keyが変わったとしても「音の並び方」は変わらないモノだからです。

「Key=Aメジャー(F#マイナー)」のダイアトニックコード

3和音

A Bm C#m D E F#m G#m-5
❷m ❸m ❻m ❼m-5

4和音

A△7 Bm7 C#m7 D△7 E7 F#m7 G#m7-5
❶△7 ❷m7 ❸m7 ❹△7 ❺7 ❻m7 ❼m7-5


「Key=D♭メジャー(B♭マイナー)」のダイアトニックコード

3和音

D♭ E♭m Fm G♭ A♭ B♭m Cm-5
❷m ❸m ❻m ❼m-5

4和音

D♭△7 E♭m7 Fm7 G♭△7 A♭7 B♭m7 Cm7-5
❶△7 ❷m7 ❸m7 ❹△7 ❺7 ❻m7 ❼m7-5

  • 「Key=Aメジャー」における❶はA
  • 「Key=D♭メジャー」における❶はD♭

というように、当てはまるコード(実音)が変わるだけです。

ディグリーネームは「Keyにおける音の並び方」を相対的に記号化したモノなので、Keyに左右されずにコードの関係性だけを把握することができます。

言い換えると、ディグリーネームを覚えておけばどのKeyにもその関係性・法則性を当てはめることができるということです。

マイナーKeyにおけるディグリーネームの表記

これまでは「メジャーKey」の場合のディグリーネームについて書いてきましたが、「マイナーKey」の場合はどうなるのでしょうか。

マイナーKeyのディグリーネームの表記法としては、2通りあります。

2つのマイナーKeyのディグリーネーム表記法
  1. 「マイナーKeyのトニック」を❶mとして順番に番号を振っていく
  2. 「平行調のメジャーKey」に置き換えて番号を振っていく

個人的には後者の表記法がわかりやすく実用的だと感じているので、当ブログでもその表記法を用いています。

前者の表記法を選択するとなると、「メジャーKeyのディグリーネーム」とは別に「マイナーKeyのディグリーネーム」の表記法まで覚えないといけなくなります。

これがややこしいんです。

ディグリーネームは、いわば「コード進行を分析し、活用するためのモノサシ」のようなモノです。ディグリーネームの読み方を理解することで、コード進行が扱いやすくなるわけですね。

そのモノサシが2つあったらどうでしょうか?ややこしくないですか?

1つのモノサシでも測れるのに、わざわざ「目盛りが異なるもうひとつのモノサシ」を持とうとする必要はありませんよね?

そのような理由で、ディグリーネームの表記法、捉え方は「平行調のメジャーKey」に統一しています。

詳細はマイナーKeyにおけるディグリーネームの表記法についてをごらんください。

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ディグリーネームを利用するメリット

では、ここからはディグリーネームを利用することで得られるメリットについて説明します。

ディグリーネームのメリット
  1. Keyにおけるコードの役割を把握しやすい
  2. 作曲や編曲の際に応用させやすい
  3. コード進行の引き出しをたくさんストックできる
  4. 共通言語として使える

1.Keyにおけるコードの役割を把握しやすい

たとえばある曲でG7というコードが使われていた場合、それが

  • 「Key=Gメジャー」におけるG7
  • 「Key=Cメジャー」におけるG7
  • 「Key=E♭メジャー」におけるG7

なのかによって、まったく「G7」の役割が変わってきます。

  • 「Key=Gメジャー」におけるG7は「❶7
  • 「Key=Cメジャー」におけるG7は「❺7
  • 「Key=E♭メジャー」におけるG7は「❸7

ということになります。この❶や❺7や❸というのがディグリーネームであり「そのKeyにおける役割」を表しています。

  • 7はトニック+7th
  • 7はドミナント
  • 7は❻mに対するセカンダリードミナント

といった決まりごとさえ覚えておけば、ディグリーネームを見るだけで「このG7がどのような役割か」を瞬時に把握することができるというわけです。

仮に「『Key=E♭メジャー』におけるG7はCmに対するセカンダリードミナントだ!」といったように、コードネームを見ただけですぐに断定できるほどKeyとコードの関係や構成が完全に頭に入っている人や直感的に判断できる人にとっては、ディグリーネームによる表記は不要です。

2.作曲や編曲の際に応用させやすい

ディグリーネームでコードを捉える習慣を付けておくと、応用の幅がグッと広がります。

たとえば、ある曲を聴いて「この歌のコード進行をパクりたい!」「自分の曲に取り入れたい!」と思ったとしましょう。

そのとき、「Em7、Am7、Dm7、G7・・・」というようにいちいちコード進行を「実音」で拾っていくのは、効率的ではありません。

実音表記によるコードは、あくまでも「その曲のKeyに準じた」音の並び方を表したモノであり、たとえば別のKeyの曲でそのコード進行を使おうとした場合に、そのKeyにフィットするようにわざわざ変換しなければいけないからです。

「『Key=Cメジャー』でEm7→Am7→Dm7→G7というコード進行を、『Key=Gメジャー』の曲で使うとなると・・・」

って考えるのは時間がかかるし面倒ですよね。

パッパッとコード進行を別のKeyに移調できるほど頭の回転が早ければ問題ありませんが、なかなかできることではありません。

そこで便利なのがディグリーネームです。「実音」ではなく、「位置」で音を拾うのです。

ディグリーネームで音を拾う習慣がついていると、コード進行を聴いた時に「❸m→❻m→❷m→❺」というように脳内で数字に変換できます。これは「コード進行を相対的に捉える」ということです。

相対的に捉えるというのは、

  • コード同士の繋がりや位置関係
  • 「Keyのトニック❶」からの距離

などを把握するということです。コード進行の法則性を「数式として」抜き出すイメージです。

あとは、どのKeyに移調するにしても、抜き出した数式「❸m→❻m→❷m→❺」をそのKeyに適用するだけで、どのコードを鳴らせば良いのかが導き出されます。

もちろん、そのためにはあらゆるKeyのスケールやコードの構成音が頭に入っていることが前提になります。

このように、ディグリーネームでコード進行を捉えることによって、「なんの音が鳴っているか?(実音)」ではなく「その音はKeyにおいてどの位置か?(相対関係)」を拾えるようになり、アレンジや作曲の際に非常に便利になります。

3.コード進行の引き出しをたくさんストックできる

先述のようにディグリーネームでコードを捉えることによって「数式として」抜き出せるため、体系的にコード進行の引き出しをたくさんストックできるようになります。

ジャンルや洋・邦を問わず、定番のコード進行や人気のコード進行というものがたくさん存在します。

それらのコード進行をディグリーネームでストックしておくことによって、作曲やアレンジの際の引き出しを効率的に増やすことができます。

数式で覚えるだけなので、ストックの数が増えてもかさばりません。これを実音で覚えようとするとゴチャゴチャしてしまい、いざ頭の中から引き出すときの労力も大きくなってしまいます。

また、個人的な音楽体験とコード進行を結びつけるときも便利です。

特定の感情を想起させるようなコード進行に出会ったとき、その感情の動きとコード進行を紐付けしておくことによって、「このコード進行を使えばこのような印象を与えられる」といったようなストックの仕方ができます。

  • 「浮遊感を与えたいときはこのコード!」
  • 「ここでこのコード進行を使えば絶望感を演出できる!」

といったような感じで引き出すことができるようになります。

普段から音楽を聴きながら、感情の動きとコード進行を紐付けする習慣をつけておくと面白いです(ただし、コード進行以外の要因で感情が動く場合もあるのは言うまでもありませんが)。

4.共通言語として使える

バンドなどで

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