コード進行分析

【楓】のコード進行をわかりやすく解説!【スピッツ】

リリース 1998/07/07
収録アルバム フェイクファー
作詞 草野正宗
作曲 草野正宗

【楓】のコード進行と歌詞

コード表の見方

コード

コードネームを実音で表しています。クリックするとそのコードの音が鳴ります。

度数

  • メジャーのトニックを❶
  • マイナーのトニックを❻m

とした場合の度数を表しています。ノンダイアトニックコードは赤文字で表記しています。

コードの度数表記(ディグリーネーム)について


「Key=A♭メジャー(Fマイナー)」のダイアトニックコード

3和音

A♭ B♭m Cm D♭ E♭ Fm G♭m-5
❷m ❸m ❻m ❼m-5

4和音

A♭△7 B♭m7 Cm7 D♭△7 E♭7 Fm7 G♭m7-5
❶△7 ❷m7 ❸m7 ❹△7 ❺7 ❻m7 ❼m7-5


イントロ

コード D♭E♭ A♭Fm D♭E♭ A♭
度数 ❹ ❺ ❶ ❻m ❹ ❺
歌詞
コード A♭
度数
歌詞

Aメロ

コード A♭ Cm Fm B♭
度数 ❸m ❻m
歌詞 忘れは しないよ 時が流れて
コード D♭ E♭
度数
歌詞 いたずらなや りとりや
コード A♭ Cm Fm B♭
度数 ❸m ❻m
歌詞 心の トゲさえも 君が笑えば もう
コード D♭ E♭ A♭ A♭
度数
歌詞 小さく丸く なっていたこと

Bメロ

コード D♭E♭ A♭Fm D♭E♭ A♭
度数 ❹ ❺ ❶ ❻m ❹ ❺
歌詞 かわるがわるの ぞいた穴から 何を見てたかな ぁ?
コード D♭E♭ A♭Fm B♭m C7
度数 ❹ ❺ ❶ ❻m ❷m ❸7
歌詞 一人きりじゃか なえられない 夢もあったけれど さよな

サビ

コード FmD♭ E♭A♭ FmD♭ E♭A♭
度数 ❻m ❹ ❺ ❶ ❻m ❹ ❺ ❶
歌詞 君の声を 抱いて歩 いていく
コード FmD♭ E♭A♭ FmD♭ E♭A♭
度数 ❻m ❹ ❺ ❶ ❻m ❹ ❺ ❶
歌詞 ああ 僕のままで どこまでと どくだろう

間奏1

コード D♭ [♭Dsus4]
度数 ❹sus4
歌詞

Aメロ

コード A♭ Cm Fm B♭
度数 ❸m ❻m
歌詞 探して いたのさ 君と会う日ま
コード D♭ E♭
度数
歌詞 今じゃ懐か しい言葉
コード A♭ Cm Fm B♭
度数 ❸m ❻m
歌詞 ガラスの 向こうには 水玉の雲
コード D♭ E♭ A♭
度数
歌詞 散らかってい た あの日まで

Bメロ

コード D♭E♭ A♭Fm D♭E♭ A♭
度数 ❹ ❺ ❶ ❻m ❹ ❺
歌詞 風が吹いて飛 ばされそうな 軽いタマシイで
コード D♭E♭ A♭Fm B♭m C7
度数 ❹ ❺ ❶ ❻m ❷m ❸7
歌詞 他人と同じよう な幸せを 信じていたのに これか

サビ

コード FmD♭ E♭A♭ FmD♭ E♭A♭
度数 ❻m ❹ ❺ ❶ ❻m ❹ ❺ ❶
歌詞 傷ついたり 誰か き ずつけても
コード FmD♭ E♭A♭ FmD♭ E♭A♭
度数 ❻m ❹ ❺ ❶ ❻m ❹ ❺ ❶
歌詞 ああ 僕のままで どこまでと どくだろう

大サビ

コード G♭ G♭ A♭
度数 ❼♭ ❼♭
歌詞 瞬きするほど  長い季節が来て
コード G♭ G♭ Fm  E♭
度数 ❼♭ ❼♭ ❻m  ❺
歌詞  呼び合う名前が  こだまし始める  聴こえる?

間奏2

コード D♭E♭ A♭Fm D♭E♭ A♭
度数 ❹ ❺ ❶ ❻m ❹ ❺
歌詞
コード D♭E♭ A♭Fm B♭m C7
度数 ❹ ❺ ❶ ❻m ❸7
歌詞 さよな

サビ

コード FmD♭ E♭A♭ FmD♭ E♭A♭
度数 ❻m ❹ ❺ ❶ ❻m ❹ ❺ ❶
歌詞 君の声を 抱いて歩 いていく
コード FmD♭ E♭A♭ FmD♭ E♭A♭
度数 ❻m ❹ ❺ ❶ ❻m ❹ ❺ ❶
歌詞 ああ 僕のままで どこまでと どくだろう
コード FmD♭ E♭A♭ FmD♭ E♭A♭
度数 ❻m ❹ ❺ ❶ ❻m ❹ ❺ ❶
歌詞 ああ 君の声を 抱いて歩 いていく
コード FmD♭ E♭A♭ FmD♭ E♭A♭
度数 ❻m ❹ ❺ ❶ ❻m ❹ ❺ ❶
歌詞 ああ 僕のままで どこまでと どくだろう
コード FmD♭ E♭A♭ FmD♭ E♭A♭
度数 ❻m ❹ ❺ ❶ ❻m ❹ ❺ ❶
歌詞 ああ 君の声を・・・

フェードアウト

忘れはしないよ 時が流れても
いたずらなやりとりや
心のトゲさえも 君が笑えばもう
小さく丸くなっていたこと

かわるがわるのぞいた穴から
何を見てたかなぁ?
一人きりじゃ叶えられない
夢もあったけれど

さよなら 君の声を 抱いて歩いていく
ああ 僕のままで どこまで届くだろう

探していたのさ 君と会う日まで
今じゃ懐かしい言葉
ガラスの向こうには 水玉の雲が
散らかっていた あの日まで

風が吹いて飛ばされそうな
軽いタマシイで
他人と同じような幸せを
信じていたのに

これから 傷ついたり 誰か 傷つけても
ああ 僕のままで どこまで届くだろう

瞬きするほど長い季節が来て
呼び合う名前がこだまし始める
聴こえる?

さよなら 君の声を 抱いて歩いていく
ああ 僕のままで どこまで届くだろう

ああ 君の声を 抱いて歩いていく
ああ 僕のままで どこまで届くだろう

ああ 君の声を・・・

【楓】のコード進行を分析

楓の面白いところは、AメロもBメロもサビも同じようなコードを使っているのに、それぞれ違う雰囲気を醸しているところだと思います。

この曲で使われているコードは、大半が

の4つです。これらのコードが順番を変えてぐるぐると循環しています。

サビはこの4つのコードオンリーですし、Bメロもほぼこの4つのコードで構成されています。

にもかかわらず、「Aメロ→Bメロ→サビ」と進行していくにつれて物悲しさが強くなっていく感じがしませんか?

Aメロはわりかし明るめで、Bメロで少し陰りが見え始め、サビで溜まりに溜まった悲しさが全開・・・という印象です。

同じコードを使っているにもかかわらず、なぜBメロとサビとではこんなに印象が違うのでしょうか?なぜサビのほうが悲しい感じがするのでしょうか?

その理由は、「1発目のコード」の影響ではないか・・・というのが個人的な見解です。

Aメロ、Bメロ、サビのそれぞれの1発目のコードを見てみると、

  • Aメロ:❶A♭
  • Bメロ:❹D♭
  • サビ:❻mFm

となっています。メジャーのトニックである❶A♭から始まるAメロは比較的明るめで、マイナーのトニックである❻mFmから始まるサビは暗い感じがします。

「循環コードがどのコードで始まっているか」によって、メジャー感やマイナー感が出るということです。

そういう部分を意識しながらこの曲を聴いてみると面白いと思います。

イントロ


イントロは5小節です。

コード D♭E♭ A♭Fm D♭E♭ A♭
度数 ❹ ❺ ❶ ❻m ❹ ❺
歌詞
コード A♭
度数
歌詞

D♭→❺E♭→❶A♭

という流れをベースとしていることがわかります。「サブドミナント→ドミナント→トニック」という、メジャーコードの主要三和音を用いた進行です。

D♭→❺E♭→❶A♭

の次に❻mFmを挟み、また

D♭→❺E♭→❶A♭

を繰り返します。

これは同じくスピッツの「チェリー」のAメロでも使われている進行です。「想像した以上に〜」の部分ですね。

Aメロ


↑Aメロから再生されます

変則的な小節数

楓のAメロは「6小節」+「8小節」の14小節という、変わった小節数になっています。

コード A♭ Cm Fm B♭
度数 ❸m ❻m
歌詞 忘れは しないよ 時が流れて
コード D♭ E♭
度数
歌詞 いたずらなや りとりや
コード A♭ Cm Fm B♭
度数 ❸m ❻m
歌詞 心の トゲさえも 君が笑えば もう
コード D♭ E♭ A♭ A♭
度数
歌詞 小さく丸く なっていたこと

前半の6小節が、後半の8小節から最後の2小節を省いた形になっています。

2番のAメロは、最後の小節が省かれていて「6小節」+「7小節」の計15小節になっています。

4小節目にセカンダリードミナント

では、Aメロのコード進行をみていきましょう。

コード A♭ Cm Fm B♭
度数 ❸m ❻m
歌詞 忘れは しないよ 時が流れて

A♭→❸mCm→❻mFm

とダイアトニックコードのみの進行をしたあと、❷B♭に進みます。

この4小節目の❷B♭はノンダイアトニックコードですね。ダイアトニックコードであれば❷mB♭mになります。

コード D♭ E♭
度数
歌詞 いたずらなや りとりや

B♭は❺E♭に対するセカンダリードミナントとして配置されることが多く、

B♭→❺E♭

という進行をするのがセオリーですが、ここでは❹D♭に進行しています。

そして❺E♭へ進行し、Aメロ頭の❶A♭に戻ります。

コード A♭ Cm Fm B♭
度数 ❸m ❻m
歌詞 心の トゲさえも 君が笑えば もう
コード D♭ E♭ A♭ A♭
度数
歌詞 小さく丸く なっていたこと

前半の6小節と同じように

A♭→❸mCm→❻mFm→❷B♭→❹D♭→❺E♭

と進行し、❶A♭にたどり着きます。

そして4度上昇し、Bメロ頭の❹D♭に進行します。

Bメロ


↑Bメロから再生されます

Bメロ最初の4小節は、イントロと同じ

D♭→❺E♭→❶A♭→❻mFm→❹D♭→❺E♭→❶A♭

という進行です。

コード D♭E♭ A♭Fm D♭E♭ A♭
度数 ❹ ❺ ❶ ❻m ❹ ❺
歌詞 かわるがわるの ぞいた穴から 何を見てたかな ぁ?

まったくコード進行が同じなんですが、言われるまで気が付かないんじゃないでしょうか?

イントロはピアノだけの演奏、Bメロはバンド全体の演奏で歌も付いていて、まったく異なるメロディー。

同じコード進行でもアレンジやメロディーによってまったく聴こえ方が変わるということを改めて感じさせられます。そういうことを考えながら聴き比べてみると面白いですね。

イントロを先につくってBメロに持ってきたのか、逆にBメロが先なのかはわかりませんが、曲の一部分を切り取ってイントロに持っていくという手法はよくあります。

あからさまに「曲の一部をイントロに流用しましたよ」ということを聴き手にわかりやすく提示するつくり方もあれば、楓のようにまったく同じコード進行と感じさせないような流用の仕方もあります。

続いてBメロ5小節目〜です。

コード D♭E♭ A♭Fm B♭m C7
度数 ❹ ❺ ❶ ❻m ❷m ❸7
歌詞 一人きりじゃか なえられない 夢もあったけれど さよな

D♭→❺E♭→❶A♭→❻mFm

までは先ほどと同じ進行ですが、次に❷mB♭mに進行します。

Aメロで登場した❷B♭とは異なり、こちらはダイアトニックコードです。

そして最後の小節で❸7C7に進行します。これはサビ頭の❻mFmに対するドミナントです。

サビ


↑サビから再生されます

Bメロのコード進行との共通点

楓のサビは、

❻mFm→❹D♭→❺E♭→❶A♭

というコード進行を4回繰り返します。ダイアトニックコードだけを利用した、非常にシンプルな循環コードです。

コード FmD♭ E♭A♭ FmD♭ E♭A♭
度数 ❻m ❹ ❺ ❶ ❻m ❹ ❺ ❶
歌詞 君の声を 抱いて歩 いていく
コード FmD♭ E♭A♭ FmD♭ E♭A♭
度数 ❻m ❹ ❺ ❶ ❻m ❹ ❺ ❶
歌詞 ああ 僕のままで どこまでと どくだろう

❻mFm→❹D♭→❺E♭→❶A♭

このサビのコード進行とBメロ最初の4小節のコード進行を見比べてみると、面白いことに気がつきました。

Bメロ

D♭→❺E♭→❶A♭→❻mFm

サビ

❻mFm→❹D♭→❺E♭→❶A♭

「使われているコードが同じだ!」

それだけではありません。コードの順番も同じなのです。サビの循環コードを❹D♭からスタートさせたものが、Bメロのコード進行の土台になっているんです。

つまり、スタート地点がズレているだけでコード進行は同じということです。

これのナニが面白いのか?というと、それだけで聴こえる印象が変わるというところです。

どのコードで始まるかで印象が変わる?

もう一度、Bメロとサビのコード進行を確認してみましょう。

Bメロ

D♭→❺E♭→❶A♭→❻mFm

サビ

❻mFm→❹D♭→❺E♭→❶A♭

どうでしょうか?順番に鳴らしてみると、サビのほうが悲しげな感じがしますよね?同じコード進行なのに、スタート地点が変わるだけで印象が変わります。

しかも、サビの循環コードの着地点は4つ目の❶A♭ですが、これはメジャーのトニックです。

メジャーのトニックに着地しているにもかかわらず、サビがBメロよりも悲しい感じがするのはなぜでしょうか?

その理由として「サビの循環コードの1つ目のコードがマイナーのトニックである❻mFmだからではないか」と個人的には考えている・・・というのは前述の通りですが、ココをさらに深掘りしてみましょう。

注目すべきは、「❻mFmの役割の違い」です。

❻mの役割の違い

Bメロにも❻mFmが使われていますが、これは着地点ではなく「つなぎ」のような聴こえ方がします。

Bメロのコード進行は、

D♭→❺E♭→❶A♭

でひとまとまりであり、着地点は❶A♭です。そしてその❶A♭から、循環コードの頭である❹D♭に帰るときにクッションとして❻mFmを置いているような感じです。

一方、サビのコード進行は、

❻mFm→❹D♭→❺E♭→❶A♭

でひとまとまりです。着地点はBメロと同じ❶A♭ですが、こちらは❻mFmが頭からバーンと入ってきます。

しかも、サビ直前(Bメロ最後の小節)の❸7C7のコードをジャンプ台にしているため、❻mFmの存在感がより目立っています。

❸7C7→❻mFm

きたー!!という感じですね。まさに❻mFmこそがサビの「顔」であり、それを引き立てるために直前に❸7C7を置いてドミナントモーションをつくりあげているような感じです。

このように、Bメロとサビとでは「❻mFmの役割・立ち位置」が違うため、同じようなコード進行なのに聴こえ方が変わるのではないかと考えられます。

間奏1


↑間奏1から再生されます

D♭の5度を半音下げたモノからD♭へチョーキング

[♭Dsus4]

(両方の音にadd9かも)

大サビ


↑大サビから再生されます

コード G♭ G♭ A♭
度数 ❼♭ ❼♭
歌詞 瞬きするほど  長い季節が来て
コード G♭ G♭ Fm  E♭
度数 ❼♭ ❼♭ ❻m  ❺
歌詞  呼び合う名前が  こだまし始める  聴こえる?

大サビに入ると、G♭が鳴ってガラっと雰囲気が変わります。

なぜ雰囲気が変わるのかと言うと、このG♭が「別のKeyから拝借したコード」だからです。どのKeyから拝借しているかと言うと「Key=A♭マイナー」です。

「Key=A♭マイナー」は、楓の「Key=A♭メジャー」の同主調にあたります。

G♭というコードは本来の楓の「Key=A♭メジャー」で考えると❼♭にあたり、ノンダイアトニックコードになります。

ですが転調先の「Key=A♭マイナー(Bメジャー)」で考えると、G♭は❺にあたります。

「Key=Bメジャー(A♭マイナー)」のダイアトニックコード

3和音

B C#m D#m E F# G#m A#m-5
❷m ❸m ❻m ❼m-5

4和音

B△7 C#m7 D#m7 E△7 F#7 G#m7 A#m7-5
❶△7 ❷m7 ❸m7 ❹△7 ❺7 ❻m7 ❼m7-5

G♭F#は、表記の仕方が違うだけで同じ音です。

「同主調の『Key=A♭マイナー』から❺G♭を拝借してきた」ということですね。

このように、別のKey(主に近親調)から借りてきた和音を「借用和音」といいます。

「一時的に『Key=A♭マイナー』に転調している」

という捉え方もできますが、一時的とはいえ転調している時間が短いため、「借用和音」と呼ぶ方がふさわしいと思います。

間奏2


↑間奏2から再生されます

Bメロと同じです。

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