音楽の考察・妄想

ずっしーさんの動画「カノン進行をオシャレ和音に」の裏コード編を解説

本日もコチラの動画の解説をしたいと思います。

ずっしーさん(@zussie_piano)のこの素晴らしい動画は、

  1. 分数コード(転回形)を使ってベースラインをなめらかに
  2. ツーファイブを使ってドミナントモーション
  3. ツーファイブに裏コードとテンションを入れる

という3つのコードチェンジのテクニックについて紹介されています。

ずっしーさんの「カノン進行の曲をオシャレ和音に変えていく方法」を解説の記事では、その中の2番目の

ツーファイブを使ってドミナントモーション

についての解説をおこないました。今回はこの続きにあたる、

ツーファイブに裏コードとテンションを入れる

について、わかりやすく噛み砕きながら説明しようと思います。

この話をキチンと理解するためにも、ずっしーさんの「カノン進行の曲をオシャレ和音に変えていく方法」を解説を先に読まれるコトをオススメします。

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今回の話の前提として(おさらい)

さて、本題に入る前にこの「ツーファイブに裏コードとテンションを入れる」というテクニックについての前提について説明しておきます。

コレは、「ツーファイブを使ってドミナントモーション」によって置き換わったコードを元にして、さらに変身させていくテクニックになります。

なので、「ツーファイブを使ってドミナントモーション」を理解したことを前提としての話になります。

軽くおさらいしておきましょう。

元のコードはこのようなシンプルなカノン進行でした。

コード C G Am Em
度数 ❻m ❸m
コード F C Dm G
度数 ❷m

「ツーファイブを使ってドミナントモーション」によって、次のようにコードがオシャレに変身しました。

元のコード G
Em
コード C Bm7-5E7 Am Gm7C7
度数 ❼m7-5 ❸7 ❻m ❺m7 ❶7
元のコード C
コード F Em7A7 Dm G
度数 ❸m7 ❻7 ❷m

2小節目・4小節目・6小節目が変化していますね。

さあ、それではこのオシャレに生まれ変わったコードをさらにどのように変身させていくのか、本題に入りましょう。

裏コードとは

裏コード

・・・なんだか怪しげでもあり、陰ったカッコよさを含んでいる響きでもありますね。秘密っぽさ。禁断の。闇属性みたいな。

「裏コード」が今回のテクニックの中心になってくるので、理解しておく必要があろうかと思います。

まず、裏コードについて簡単に説明しておこうと思います。

裏コードはドミナントの代理として使えるコード

裏コードとは、ひと言で表わすと「ドミナントの代理として使えるコード」です。

裏コードはドミナントと同じような要素を含んでいるため、ドミナントの替わりとして差し替えることができるんですね。

言い方を変えれば、裏コードにはそれ以外の用途はありません。「ドミナントの代理要員」です。

ドミナントと言っても、❺7だけを指しているわけではありません。構成音上の「ドミナントコード」という意味です。「メジャートライアドに7th(短7度)が乗っているコード」ですね。

よって、セカンダリードミナントもそれぞれの裏コードに差し替えることができます。

裏コードはトライトーンを含んでいる

で、裏コードが持っているドミナントと同じような要素がナニかと言うと「トライトーン(三全音)」です。

トライトーンはドミナントだけが持つ「不安定さ・緊張感」を現す「増4度音程」です。コレがあるからこそ、ドミナントはトニックに進みたがる性質を有することになります。

❺7(ドミナント)・・・「ソ・・レ・ファ

の赤文字で示した「シ・ファ」の音程がトライトーンです。

で、裏コードにもこのトライトーンがあるため、ドミナントの代理コードとして機能するというワケですね。

❷♭7(裏コード)・・・「レ♭・ファ・ラ♭・

❺7に含まれているトライトーン「ファ・シ」があります。

裏コードは裏側に位置するもっとも遠いコード

なんで「裏コード」という名前がついているのかと言うと、スケールの中でもっとも遠い位置に存在するコードだからです。言ってしまえば「地球の裏側にあるようなコード」です。

コードやKeyの親和度・距離を表している「五度圏」という表がありますが、裏コードはまさに五度圏で見ると裏側に存在します。


引用:wikipedia

というように、五度圏において対角線上に位置するのが裏コードになります。

もっとも遠い裏側にいながら、「ドミナントとして捉えた場合には」同じような性質を持っていて代理が効くというのは、面白い話ですね。

裏コードの使い道

裏コードはおもにジャズで、雰囲気を変えたいときなどにコードのバリエーションとして使われます。

ずっしーさんの動画でも、裏コードの部分はなんとなくジャズっぽく聴こえますよね?

また、裏コードは作曲やアレンジのテクニックとしてだけでなく、アドリブを演奏するときのバリエーションとしても使われます。

たとえば、コード自体は裏コードに変えずにドミナント(❺7)のままだけど、アドリブのフレーズを裏コード(❷♭7)のコードトーンから導いたりするワケです。

そうすることによって、ドミナントコードの機能や性質を帯びつつも、意外性のある新しいフレーズができたりします。

元になるコード進行を確認

裏コードがどんなモノなのか、大雑把にでもわかっていただけたと思います。いよいよ裏コードによるコードの変化を味わっていきましょう!

元となるコード進行はコチラになります。

コード C Bm7-5E7 Am Gm7C7
度数 ❼m7-5 ❸7 ❻m ❺m7 ❶7
コード F Em7A7 Dm G
度数 ❸m7 ❻7 ❷m

裏コードとは「ドミナントの代理」でしたよね。よって、このコード進行の中で裏コードに差し替える対象となるのは、当然ドミナントになります。

赤いマーカーを引いた部分E7C7A7が、これから裏コードに差し替わります。すべてドミナントコードですよね。

ドミナントを裏コードに置き換えよう

↑「ツーファイブに裏コードとテンションを入れる」から再生されます

いよいよ、3つのドミナントコードE7C7A7が、それぞれの裏コードに置き換わります。

裏コードがどのコードなのかを探すのは簡単ですね、五度圏の表の対角線を見るだけです。

そして裏コードに置き換わった図がコチラです。

元のコード     E7
    C7
コード C Bm7-5B♭7 Am Gm7G♭7
度数 ❼m7-5 ❼♭7 ❻m ❺m7 ❺♭7
元のコード     A7
コード F Em7E♭7 Dm G
度数 ❸m7 ❸♭7 ❷m

理屈さえわかれば簡単ですよね?ドミナントコードに対応する裏コードを五度圏の表から割り出し、差し替えるだけです。

ベースラインがなめらかな下降線に

裏コードに置き換わったコード進行を見て、なにか気づきませんでしたか?

コードが半音ずつ下がっていますね。つまり、ベースラインが半音ずつ下がっていくなめらかなラインになっています。

これは、裏コードに差し替える前のコード進行が「ツーファイブワン」だったからです。

❷m7→❺7→❶

コレがツーファイブワンの形ですね。で、真ん中の❺7がドミナントなんで、コイツを裏コードに差し替えます。

❺7の裏コードは❷♭7。ゆえに

❷m7→❷♭7→❶

こうなります。「ファイブ」が裏コード「♭ツー」となって「ツー」と「ワン」をつなぐ役目を果たしているんですわ。

つまりツーファイブワンに裏コードを適用すると、ツーファイブワンの体裁を保ちつつ、なめらかな下降線を描くベースラインを演出できるというワケですな。

 

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